庭劇団ペニノ/笑顔の砦

精華小劇場にて観る。本当に精華小劇場は良いところだ。大好きだ、精華小劇場。
さて、感想。さて、嗚呼、良かった。滂沱の涙を堪えてラスト。
うちの役者に観劇を勧めたが、作風を感じるのでなく、演技の質感を見て欲しいと想ってのこと。(もちろん作風も素晴らしいのだが、役者がそういった部分だけを見て喜ぶようじゃダメだと想う。役者は役者を通じてその作品性、身体性を感じ取って欲しい。) 終演後のPPTで松本雄吉氏と演出家のタニノクロウ氏の話があったが、身体性を重視した演技、ながらの演技、といった部分がとても聞き応えがあり、何度も納得。『ながらの演技』という言葉がとてもしっくり来る。90年代以降、『ながら』は流行ったといっても過言ではない。しかし、元来舞台芸術とはながらの芸術だったのではないか。殊更に『ながら』に注目せざるを得ないようになったのは何故だろう。『ながら』とは意識の分散だ。点在した意識が『ながらの演技』に繋がる。(この辺の事情は平田オリザの著作に詳しい。)
ジャンルの区分けが意味を成すのは、商業主義の上での事。先週の誰でもピカソに元具体の鷲見康夫氏が出ていたが、やはり自分がジャンルになってしまえば良いのだ、といった言葉を残されていたように記憶している。庭劇団ペニノ庭劇団ペニノ。そういう風に想う。良い芝居を観た。個人的だが、私のオヤジが好きそうだったのが、尚良い。