もう秋だ

▼なわけない。もう春なのだ。でも言いたかった。言わせて欲しい。「もう、秋だ」

丸谷才一著『樹影譚』読了。一作目の「鈍感な青年」、好きだなぁ。この本の解説、三浦雅士氏が書いているのだけれど、上手い小説、とかなり三浦氏は唸っている。僕も唸った。基本的にこの本を御堂筋に揺られ読んだのだが、どうしても人々の会話が否応無しに入ってくる。とても困惑した。他人の会話を盗み聞きながらメタ構造の小説を読むと、頭がクラクラする。自分の居場所がわからなくなる。

▼諸事情でチェーホフ三昧だった。彼の作品が国語の教科書に載っているらしい。昔、MONOがチェーホフやったらしい。知れば知るほど面白い。もっと知りたい。全集、復刊せよ。

▼先日、とある家に宿泊。楽しかった。何だろう、あの楽しさは。人の家にお泊りすることほど、何だかわくわくすることは無い。カーテンが超長いデザイナーズマンションのリビングに寝たのだ。しかし、家族の人とはほぼ初対面。唯一、奥様だけが知り合いってな具合。朝、家族の人たちが朝ご飯を和やかに食べている。僕は独り、リビングで寝ている。誰なんだ、俺は。自分で自分を笑ってしまった。