満点の賞状

▼漠然とした所感だが、僕は最近飲んでばかりだ。困った。2月23日金曜日の記憶が吃驚するぐらい無い。稽古から帰り、ん〜、なんだったろう。横尾忠則のドキュメントを見た気がする。いや、見たのか。Y字路がテーマだった。どっちに行くのか。こっちの水は甘いよぉ、の「水」が「道」に置換されるような。どっちの道が甘いのか。そのドキュメントを見終わった後、公共放送で25日日曜日にやる『脳を鍛えて人生をふたたび』の宣伝番組が短いながらもやっていたので、呆然と見た。しかし僕はそれに大変心揺さぶられてしまう。(本番を録画し忘れた事はかなり痛い。)痴呆症や認知症の老人が、小学1年生が行なうような簡単な学習を通じて、脳の活性化を目指すという一風変わった「学習療法」を行なう老人ホームのドキュメント。認知症のおばあちゃんは漠然とした不安に包まれるため、「死なせて下さい」と思わず言ってしまうのだけれど、学習療法をはじめて数ヶ月、自分の順番が来るのを待てず、他のおじいちゃんの療法の時まで学習の様子を覗き込んだり、学習を通じて行なうテストで満点を取ったときなどに見せる笑顔、ったらない。その学習療法を老人ホーム(永寿園)に持ち込んだ教授の研究成果では、複雑な計算をしている時よりも、簡単な計算をしている時の方が、脳の前頭前野は活性化されているらしい。実際、そこでの学習は本当に簡易なもので、あるモノが描かれたカードを見て、そのモノの名前を言ってもらったり、一桁の足し算・引き算をおこなったり。認知症のおじいちゃんやおばあちゃんが列を成して、「みかん・たべる・さんがつ・あめ・にーひくいち・は・いち」などと復唱している姿に、僕はただならぬモノ(恐らく感動)を感じた。人間を考える事、人間と関わる事、いち人間であるという事。私も誰かに満点の賞状を渡し、その人の満面の笑顔を見てみたい。そんな気がした。逆もしかり。

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