地点『ワーニャ伯父さん』

楽日の昼に行く。アトリエ劇研までの道すがら、僕は神西清訳の『ワーニャ伯父さん』を読みながら復習。現代にチェーホフをやる意義、そして主宰三浦基の決意に心打たれる。多くは無いが、地点の作品は数本見ている。利賀での「かもめ」も運よく観る事が出来た。しかし、今回のワーニャ伯父さんは、僕がアトリエ劇研の小屋が好きな事もあるけれど、本当に良い「演劇」を見た気がした。ああいった「演劇」がもっと拡がっていかなければならない。地点未見の人は、地点を小難しい芝居をしてるカンパニーと想っているかもしれないが、全体としてとても丁寧に作られていて、漫画的とも言えるぐらい言葉を面白おかしく料理している(と特に今回感じた)。演劇性と文学性の葛藤は、演劇論に付きまとう話だけれど、良質な戯曲、良質な演出、良質な役者、良質な空間、本当に良い「演劇」を見た気がしたのだ。方法論としては、今の演劇界において少し異端なのかもしれないが、芸術全般を斜め読み、全的なアート感覚を鋭敏にしている人には、確実に刺激的な(素晴らしい)舞台作品であろう。僕は思わずチェーホフ全集を読みたくなった。地点、かっこいい。