言い間違えて欲しい
一郎曰く。
痴漢された事のある方には失礼千万な話かもしれない。
しかし痴漢された時に「痴漢!」じゃあまりにも直球勝負過ぎるのではないか。これからは是非以下のようにいい間違えて欲しい。
「時間!」
・・・この不条理はどうだ。藤子・F・不二雄先生ばりのSFパラレルワールドが展開されちゃったような勢いのある言い間違い。この前に痴漢に襲われた瞬間に純粋に発せられる叫声を加えてみよう。
「キャー。時間!」
正に彼女は魔美ちゃんじゃないだろうか。日頃お父さんの前で裸婦に成り果てる苦悩。痴漢に襲われた瞬間に過ったのは、父のキャンバスじゃないだろうか。。。
二郎曰く。
死にそうになった経験が有る方には失礼百万の話かもしれない。
しかし死にそうな瞬間に「死ぬー!」じゃあまりに直接話法過ぎるのではないか。これからは是非以下のように言い間違えて欲しい。
「犬〜!」
・・・何故だか伸ばし棒さえ波棒になってしまうこの超越感。今にも死ぬのに犬とは何事だろう。幻覚なのだろうか。走馬灯に犬が出てきたのだろうか。いずれにせよ、犬〜!だ。この言い間違いの前に死の恐怖や苦しみから発せられる断末魔を加えてみよう。
「うぅぅ。犬〜!」
悪夢をみているとしか思えない。そもそも死ぬ瞬間に「死ぬー!」と言う事事態メディア汚染語なのだ。「犬〜!」と言い間違える方が幾分清清しい。正に犬死。
三郎曰く。
火事で困った事のある人には失礼手取り一万の話かもしれない。
しかし火事を発見したからとて「火事〜!」では順風満帆の人生過ぎないだろうか。これからは以下のように言い間違えて欲しい。
「まじ〜!?」
・・・大変純粋な気持ちが表現されている。
「鯵〜!」
・・・分裂病と判断されても構わないといった気の強さ。
「文字〜!」
・・・紙面上で変換すれば了解可能だが、実際に耳にした場合、「モジ〜!」としか理解されないだろう不甲斐なさ。
以上三つの言い間違いのどれを選びましたか。占いましょう。
①「まじ〜!?」を選んだ方
人の気持ちをもっとよく考えてあげましょう。
②「鯵〜!」を選んだ方
栄養が偏っています。自炊生活に励みましょう。
③「文字〜!」を選んだ方
昔の友達に連絡をとってみては?友を大切にしましょう。
四郎曰く。
「言い間違いが良い間違いである確立は低いのか。フロイト的解釈をした場合、言い間違いから真実が見えるそうである。空隙が出来るそうである。狭苦しい肩身狭い鬱屈した現代社会において、空隙を無意識に作りだす言い間違いは密やかに崇拝されるべき。」
五郎曰く。
「は? ヘロイト?」
六郎曰く。
「いや、クロイトだよ。」
七郎曰く。
「え? 黒糸?」
八郎曰く。
「いや、古井戸だろ?」
九郎曰く。
「え? 風呂入ろ?」
十郎曰く。
「唐です。特権的言い間違い論。以上で狩猟です。」