The Texas Chain Saw Massacre/Tobe Hooper

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恥ずかしながら未見の傑作を、特にホラー関連を急ぎ足で駆け抜ける2008年の夏である。これも素晴らしかった。未見の人は、以下注意して下さい。先日、変態村も観たけれど、なるほどオマージュしていた食卓のシーンはそれなりに頑張っていたことが分かった(けどただただカメラを回転させるだけでは、逆に表現の乏しさを感じたりもした)。しかし、こちらの、トビー・フーパーの力量ったら無い。特典映像でレザーフェイスがメイクしているシーンが見れた事も良かった。あの形相とちょこまか動き回るアンバランスに人物造形のリアリティを感じる。チェーンソーを持って追いかける姿とかも、なんだか笑えるんだけれど、その笑える感じが逆にリアリティを感じさせるというか。個人的には車椅子の男とマリリン・バーンズのやりとりが勉強になった。懐中電灯を貸せ、いや貸さない、だけのシーンで同じセリフのの繰り返しでしか無いんだけれど、それが逆に身内である二人をちゃんと表している。(実際車椅子の男が唇をぶるぶる震わせる行為は、映画の雰囲気を上手くアゲている。)身内は同じ事しか言わないものだよなぁ。と思った。その後弟が瞬殺されてしまうのだ。だから、姉ちゃんはあそこまで狂って逃げた。その狂った演技を求めるとき、トビー・フーパーはかなり長回しして、全然カットの声をかけなかったそうだ。そうした事でマリリン・バーンズの感情表現を煽ったのだろう。そしてセットの美術も良くできている。女性が迷い込んであの家に入って行ってしまい、その部屋をじっと見てしまうシーン。ああいった時間の引き延ばし方も上手いし、あれだけ美術がしっかりしていれば、まぁ仕方ないかなと思わせる説得力もある。冒頭20分が醸し出す何とも言えない空気感も素晴らしい。生理的な不快感が付きまとう。そして、上手く金槌を使えないくだりを見て、死んだ祖父を思い出すのは、やり過ぎだろうか。ダメな部分もちゃんと見せる。それが、その場にいる、本当に見てはいけないものを見ちゃってる感を醸し出す。