同居するもの

▼5月30日(金) マレビトの会/血の婚礼 を見に行く。帰り、少しだけ飲み会へ合流。映画の話などを松田さんとして帰る。音も光も美術も、シンプルなんだけれど、とても良かった。ラスト付近、筒井加寿子さんの髪の毛に水がちょっとずつしたたる際の音の移行、つまり「リノに当たる音→椅子に当たる音→筒井さんの服に当たる音→筒井さんの乾いた髪の毛に当たる音→筒井さんの濡れてきた髪の毛に当たる音」のシーン、僕はめちゃくちゃ戦慄した。よかった。水の滴る音が変化していくだけなんだけれど、多くの意味がそこから読み取れる。また、各俳優の持っている身体性のバランスが極めて有効的で、長いセリフを上手に聞かせてくれる俳優もいれば、そうではない、ただぼそっと話す事がとても魅力的な俳優もいたりする。自由と不自由の幸福な同居。ある意味これは、奇跡的なレベルで達成されている現象であり、そうそう出来るもんじゃないと思う。

▼5月31日(土) 稽古した。5幕がなぁ。どうしようか。1幕から4幕まで遊んでいると、もう5幕は全くやらない、という遊びをしたくなる。勝手に死んでいけ、とか思ってしまうのだ。だって、毒杯を飲んで、素晴らしいタイミングで死ぬガートルードもガートルードだし、レアティーズもクローディアスもハムレットも、素晴らしいタイミングで死んで行ってしまって。ま、シェイクスピアで後半じゃんじゃん死ぬってのはいつもの事なんだけど、タイミングがなぁ。本当に笑えるな、じゃんじゃん死ぬタイミング。リアルタイムで考えたら、きっと30分以内に4人死んでいる計算になるのだろう。それはどういう現場だ。

▼このダメな身体を見て欲しい。色々と探ったが、海外のHamletで、これほどふにゃふにゃなものは、余り見当たらなかった。この短さも良い。