悪い芝居「キョム!」、観劇

ちらっとツイッターを見たら盛況だったのと、山崎君と電話で話したときに、良い感じになってますよ、といった話を聞いていたので、精華へ向かった。始まると、僕が最近見てない系のお芝居だったので、それが逆に面白くて、でも見ている間はずっと「あの子は普段は自炊するのかなぁ」とか「あの決めポーズは部屋で実際に動いて考えたのかなぁ」とか「タイツ黄色いなぁ」とか、余計な事ばかりを考えていた。一人めちゃでかい男の人がいたので「あいつでかいな」と思っていたら、どうやら人間的にもでかいらしく、気付いたらそのでかい男に心を許していた。僕はあんまりがなる芝居が好きじゃないけれど、がなる理由があってがなる人間は好きだ。という書き方で良いのかよくわからないけれど、がなる人間はそれなりに理由があってがなっているはずだ(と思いたい。)だから、あの大男(北川大輔氏)が場を支配し出して、僕は安心したし、芝居に魅入ってしまった。魅入る感覚って凄く久しぶりだった。物語があるから魅入るのだろうな、と思った。魅入る土台を、作られてしまった。さらに、あの髪の長い子(植田順平氏)もよかった。一歩間違えれば、本当に道ばたに寝てるなこいつ、と思わせる髪の長さが良い。その他出演者の人たちも良かった。
よい演出家は、人を見る目がある。山崎君が集めた人々は、とても良い人ばかりで、舞台上にいることを許したくなる人ばかりだった。舞台上にいることを許す、って言い方はちょっと変だけれど、舞台上にいることを許し始める感覚ってあって、最初舞台上でカレー食ったりしてるときは全然許してないけれども、熱演が紆余曲折した上で、キャラが出来て、でもキャラやってます自分をも冷静に見ることが出来ていて、そういう空気が全体に流れ始めると、もういろいろ許してしまっている。
不器用だけれど、だからこそ純粋な愛が、あったような気がした。集団の中に残る人もいれば、出て行く人もいる。色々と深く感じ入ってしまいました。見て良かったです。