はじまるのだ、20時には

▼私が今回のチラシに書いた文章は、以下の通りである。

虫酸が走る速度なんてものを考えながら歩く人の速度を計る人の考える速度を計るなんて退屈な文章を書いている自分に虫酸が走っては休む(というより既に虫酸が走った末の『ランナーズ・ハイ』はいはい)。とした場合(が何を指すのかも分らないぐらい酩酊した人々に読んで欲しい気持ちいっぱいでお贈りするが)、虫眼鏡を覗くファーブルを遠くから望遠鏡で覗く人をもぞもぞしながらモニター越しに覗く私を除く全ての人に喉涸れるまでぜーぜー言わせたい欲望があった。ということで、組んず解れつ。お楽しみ下さい。

これに対して、今回初めて、注釈めいたものを書いた。それは、とある場所用に書いたものだが、明日には、というか今日には本公演が始まるので、少しそれを載せてみる。文字数は殆ど同じです。

初めまして。早速ですが、WEBサイトに書かれた文章を少し解説します。以下ネタバレ有です。虫酸と虫唾では、酸味を選びました。虫と無視はゆるやかに掛けています。一文目、蟻の行列を意識したループで遊んでいます。『ランナーズ・ハイ』はいはい、では皮肉に内省しながらも、赤ちゃんの這い這い(緩)とランナーズ・ハイ(急)といった揺れる人生の振幅を意図しました。覗くと除くは安易な掛け方ですが、ここではマクロとミクロの(深淵に入り込む)ミザナビーム構造を狙っています。ぜーぜー言っているのは、たぶん私です。

▼注釈を読んでも釈然としない人もおられるでしょう。ミザナビームって何だ!、みたいな声も聞こえなくもない。確かに僕も初めて聞いた時は、4年ぐらい前になるだろうか。大学生のころ、文学の授業で聞かされ、覚えさせられた。その恩師は、渡邊先生という方で、現代アメリカ文学を研究されている方です。私が大学卒業の際も、「君は院には行かないのか」と聞かれ、正直そのころ少し迷っていたので「迷っています」と答え、数週間後に再度返答という形になった。その時に私は「演劇をやります。3年か5年やって、ダメならまた院に入ります」といった話をした。そしたら、その先生は「うん、君らしいな」と、なんともにくい事も言いながらも、「まだ研究生としてならいけるぞ」と何だかよく分からない、しかし大変嬉しいアドバイスをくれたのだった。何故か私は一人今耽っている。渡邊先生は当時、「リチャード・パワーズが面白いから読みなさい」と盛んに仰っておられて、結局読んだのはそれから数年後、WI'REのサカイさんに勧められてから早速読んだのだった。何だか色々と懐かしい。

▼ちょっと脱線してしまった。今回の芝居の内容を少し書こうと思ったのに、ただの思い出話になってしまった。明日の20時が本公演第一回目である。どんなお客さんが来られるのか、非常に楽しみだ。終演後、いろんな人といろんな話が出来れば良いと思っている。あーだこーだ、したい。そして、ゆっくり風呂に浸かりたい。何なら風呂につかりながらのあーだこーだでも、いい。英語とかも使いながら、あーだこーだ。